あなたの身近には
- 食事の誘いを必ず断ったり
- 一人でないと食事をしない人
がいませんか?
普段は仲良くしているのに食事の時だけ距離をとる。
一見理解しがたい行動ですが、その人は変わっているわけでもあなたを嫌っているわけでもありません。
それどころか理由もわからず人前で食事ができないことに本人も悩んでいるかもしれません。
なぜならば、それは医師の中でもあまり知られていない「会食恐怖症」という病気の可能性があるからです。

私は小学生の頃、給食が食べられませんでした!
当時の私は病気という認識もなく「どうして皆と一緒に食べられないのだろう」と自分を責める日々でした。
しかしこの病名をみつけた瞬間、ずっと心にかかっていたモヤが晴れて全てに納得がいきました。
そして苦しんでいたのは自分だけではないことに安心できたのです。
今でも食事は得意ではありませんが、病気のせいだと考えることで少し楽になれました。
とはいえ同じ症状に苦しむ人で、まだ病気と認識してもらえていない人もいるはずです。
そこで今回は少しでも多くの人に「会食恐怖症」を知ってもらえるよう、私の体験を基に会食恐怖症とは何か?どうやって私は克服したのかお伝えしようと思います。
「会食恐怖症」は給食が食べられない病気
正確には給食だけではなく、人前で食事がとれない病気です。
「会食恐怖症」とはなにか
●会食恐怖症
神経症(不安障害)や社交不安障害(恐怖症)の1つに分類される精神疾患
●原因
残してはいけない、食べないとお昼休みがもらえないなど食事に対する不安や緊張
●症状
外食時や他人との食事の際の吐き気、めまい、動悸、嚥下障害、下痢など
学校で行われていた「給食を完食するまでお昼休みを取らせない」という完食指導
これが原因で給食のことを考えるだけで憂鬱になったり学校を休んだりする子どもが増えて問題になりました。
※完食させる指導のためアレルギーでもおかまいなしに食べさせる。救急搬送などもあり平成19年から推奨されていませんが、禁止もされていないため現在も一部で完食指導は行われているかもしれません。

嫌いなものを無理やり食べさせられる不安や恐怖から発症する子が結構いたらしい
会食恐怖症の治療法
医師の中でも病気という概念は低いため確立された治療法はまだないのが現状です。
病院で薬を出す場合には緊張や不安を和らげる薬「抗不安剤」を処方します。
「抗不安剤」とは「うつ病」に使用される薬です。
とはいえ「うつ病」でもないですし、結局は医師も薬は出さずカウンセリングと本人の努力に任せる流れになるため病院に行ってもあまり効果は期待できないかもしれません。
恐怖症の治療である「認知行動療法」も選択肢にはありますが、実施された例はほとんどありません。
●抗不安剤
●カウンセリング
●認知行動療法
「会食恐怖症」は生きづらい
「会食恐怖症」になると学校ではいじめの対象になるかもしれません。
社会人ならば忘年会や、お客さんの接待が苦痛で仕事に影響がでるかもしれません。
人前で食事ができないということは友人関係、恋愛、仕事など生きること全てに影響します。
会食恐怖症を隠していては社会に溶け込むことができません。
とはいえ打ち明けたところで理解してもらえるのか?
そもそも病気と思ってもらえないかもしれない。
実際まだ認知度の低い「会食恐怖症」をわかる人は少ないでしょう。
結局誰にも打ち明けることもできず、生きづらさを抱え苦しむのです。

身近にいたら理解者になってあげてね!
「会食恐怖症」私が克服した方法
もともとは、潔癖症がありました。
会食恐怖症の原因は「見られていた」こと
私はもともと潔癖症で外食やお正月など、他人の食器で食事をすることが苦手でした。
両親にとって私が食べないのは普通のことでも、ご馳走を目の前にして子どもが何も食べなければ親戚の人達は心配しますよね。
私は親戚の人たちに食べ物をすすめられ、食べる食べないをじっと監視されていたのです。
少し食べれば「これが好きなの?」と騒ぎ立て、ほかの食べ物まですすめてきます。
うちの両親は基本的にスルーなので、何も言ってはくれません。
もちろん親戚の気持ちはわかるし、うれしくも感じました。
でうがちょうどその頃、姉から「食べ方が気持ち悪い」と言われた時期でもありました。

私の食べる姿は気持ち悪いんだ・・・
気持ち悪い姿を絶対に見られたくない、でも親戚の人たちは食べさせたがる。
正直パニック寸前でした。
そしていつの間にか食器が汚くて食べたくないという気持ちから、口を開く(食べ物を口に含む)ことができないに変わっていきました。
無理やり食べ物を口に入れたとしても、いつ飲み込んだらいいのかわからない。
飲み込むタイミングを変だと思われないか?口に含んでいる時間はどのくらいが普通なのか?
潔癖症も手伝ってどんどん神経質になりました。
そしてついには食事を想像するだけで、吐き気がするようになったのです。

1人だと普通に食べられました
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会食恐怖症の期間は小学校6年の終わりまで
元々そんなに食べられませんでしたが、小学校2年生の時の給食指導が厳しく3年生になる頃には全く食べられなくなりました。

バナナの皮のむき方まで担任に決められていたんだよ!
私が給食を食べないのはクラス内でも問題になり、学校でも私は食べる姿を観察れるようになったのです。
当時の私は「食べるのが恥ずかしい」「見られるのが怖い」とは伝えられず「まずくて食べられない」と嘘をつきました。
すると担任が家までやってきて「家ではどんな食事をしているのか」と調査にやってくる始末。
仕方なく食べようとすればクラスメイトから「食べるかも!」と冷やかされ、あおられ、自分ではどうにもできなくなっていきました。
本当は私もみんなと同じように給食が食べたい。
このままではいけないのは自分でも解っていましたが、意識すればするほど食べられなくなりました。
給食を食べる・転機は中学校入学だった
ありがたいことに、小学校から同じ中学にいく子はごく少数でした。
知らない人達、新しい環境。給食を食べるなるならここしかない子ども心にそう決心したのを覚えています。

本当はお腹も空くし、食べたかった
潔癖症は気のせいだから大丈夫、と自分に言い聞かせ、我慢すれば家族の食器を使えるまでにはなっていました。
中学校での給食は緊張しましたが、知らない環境の中で私を観察する人は誰もいませんでした。(当たり前ですね)
まずは牛乳だけ。それも無理な時は「まずい」ではなく「食欲がない」と言いかえました。
誰もみていない。誰も気にしていない。自分に言い聞かせました。
ちなみにお箸、スプーン、フォークは自分で用意する決まりだったのでそこにも助けられた部分はありました。
少しずつですが食べられる量は増えていき、不思議なことに一度完食してしまった後は反対に
「残したら見られるのではないか」と不安を感じはじめました。
食べたほうが目立たない。
そう考えた結果「めずらしく残しているね」と言われたくないがために完食するまでになりました。
会食恐怖症の克服法は「食べようとしない」こと

知識がなかったとはいえ私はかなりの荒療治でした
会食恐怖症ではない人も「誘われたけど今日は食事をしたくない」日はあるものです。
その理由は胃が痛いとか、家に用意してあるなどさまざまです。
そんな日に「今日はドリンクだけ」と言っても周りは「そうなんだ」と思うだけでそれ以上でも以下でもありません。
何が言いたいのかというと、人は理由がわからないから気になるもので、嘘だとしても理由がわかれば納得してしまうということです。

「ナイショ」と言われると問い詰めるけど、嘘でも食べてきたって言えばそれで納得しちゃうんだよね
会食恐怖症の人は、食べるのが普通という固定観念にとらわれすぎているのです。
食べなくてもいい
うまい言葉が見つからない時は「食べてきちゃった」「この後家族で外食に行く」などパターンを用意しておけばいい。
実際、私も友人との食事の前に家で食べることは多いです。
その時には「我慢できなくて食べちゃった」と言いますが、それで誘われなくなったこともありません。
まずは他人と一緒の雰囲気になれることが第一で、気分がよければ飲み物や食事にも挑戦していくことです。
自分で思っているほど、人は他人の食べる姿に興味はありません。
どちらかといえば美味しそうだけど何を食べているのだろう。と他人の食べているものに興味があるのです。
ですから、そこまで食べることを真面目に考えなくてもいいのです。
できるのであれば、信頼できる人に打ち明ける、そして食事に付き合ってもらい飲み物から練習を始めてみると良いでしょう。